うなぎ処勝美
株式会社浜名湖うなぎ三商店
「もったいない精神」で挑戦する
うなぎ産業の未来と食文化

創業から続く
うなぎ専門店の歩みと原点
藤波 継承からお聞かせください。
二橋 私が東京で布団販売の営業職から戻ったのが28歳のとき。それから家業であった民宿と食堂をうなぎ専門店に代えて、一時は飲食店5店舗、工場1店舗、土産物店を経営。3店舗目の飲食店を開いた頃が自分が経営を担える限界と感じ、以後は若い人に託すことに。現在、私が直接見ている飲食店は1店舗です。
藤波 長らく取材はお断りされていたと。
二橋 かつて『うなぎ焼きおにぎり』の宣伝に力を入れ、テレビCMやメディア取材を積極的に受けましたが、その際の対応に懲りて10年ほど取材を断っていました。しかし、今回は藤波さんがインタビュアーと聞き、久々に応じることにしました。
藤波 ありがとうございます。商品に頭や骨を使ったものもあるそうですね。
二橋 はい。『うなぎボーン』や『ワンニャンイールズ』など、人やペット向けの商品を展開しています。これらは添加物を使わず安心して食べていただけるものです。
藤波 うなぎは昔から「精がつく」と言われるものだから、栄養価も高いでしょうね。
二橋 うなぎにはコラーゲンが含まれていますが、当社ではさらなる発見をしました。頭部を研究した結果、セラミド成分が含まれることが分かり、化粧品の原料としての可能性まで模索されました。
藤波 廃棄される部分が大活躍ですね。
二橋 すべてはこの地域で大切にされる「もったいない精神」から生まれています。
工夫と実直な商売の精神
藤波 ビジネスの才覚もあったのですね。
二橋 若い頃から百貨店に出入りしており、「どうすれば売上が上がるかを常に考えろ」と言われました。ですから、当社は基本的に自分のところで素材を加工します。まず自社の仕事を守ることが大切です。
藤波 直営土産店舗「勝美センター」ではうなぎ関連の商品が多いと聞きます。
二橋 全体の5割がうなぎ商品です。ほかは浜名湖ゆかりの品を取り扱っています。観光会社への営業で販路を広げてきましたが、コロナ以降は地元のお客様をターゲットにシフトして足元を固めています。
藤波 小さな規模から事業を大きくされたのですね。
二橋 私が戻ったときは3名で仕事をする小さな会社でしたが、工夫で成長させ、20年間黒字を維持して拡大しました。
藤波 大変だったことはありますか。
二橋 稚魚の価格高騰で苦境に陥ったことがあります。3年間、数千万円の大きな赤字を生み、内部留保をすべて取り崩しました。それでも従業員を守るため事業を続けざるを得ませんでした。その経験もあり、私は稚魚を安く仕入れる仕組みを模索し、人と地域とのつながりの中で挑戦を重ねてきたのです。
未来を託すうなぎの再生
食文化の持続への挑戦
藤波 稚魚の問題は解決しましたか。
二橋 まさに、今、稚魚の問題に取り組んでいます。時には行政や企業とも連携しながら、海外での視察や交渉などを続けてきたのです。粘り強く続ける中で、海外との人脈や政界や経済界の人脈、また私のもとで働いてくれる人や情報を流してくれる人などが見つかりました。そのため、現状を打破するための挑戦が始まっています。さまざまな工夫をする中で、結局一番大事なのは人との縁だということを痛感しました。
藤波 うなぎは高級品というイメージもありますが、やはり稚魚の高騰という問題が大きいのですね。その中で御社が今、力を入れている養殖業について教えてください。
二橋 うなぎは手の届く価格でなければ市場は広がりません。今、行政の養殖許可を得て進めているのが「ビリうなぎ」と呼ばれる成長不良の個体を再生して大きく育てる事業です。これまで廃棄されていた命を丁寧に養生し、餌を食べられるようにしてから養殖池に戻すのです。当社で2カ月ほどの手間をかけることで餌が食べられるようになり、さらにそれをうなぎ産業に興味を持つ企業に託して育てます。
藤波 異業種の会社が御社と連携して、うなぎの養殖に取り組んでいます。
二橋 はい。埼玉の自動車関連の会社初めガス会社、群馬県の全国規模のソーラー会社などが新規参入し、浜名湖や群馬、埼玉各地で陸上での養殖を展開しています。ビリうなぎを低価格で市場に出すことで、忘れない日本の味としてうなぎを残すのが私の使命。日本はものづくりの国。その精神をうなぎで守り抜きたいのです。
藤波 信念を貫く力が道を切り開くのだと感じます。応援しています。

[ Column ]
勝美のうなぎは、大ぶりで良質なものだけを厳選して調理する。注文を受けてから三十秒で素早く、かつ丁寧にさばき、小骨もきちんと取り除く。蒸さずに直火で焼き上げるため旨みとコクを逃さず、皮は香ばしくパリッと仕上がる。焼きたてのうなぎは、訪れる人にぜひ一度味わってほしい。取材陣もそのおいしさに舌鼓を打った。
[ Point ]
私は昔からうなぎが大好き。今回の取材でも勝美さんのうなぎをいただきましたが、身はふっくらとしていて、口の中に豊かな旨みが広がり、感動しました。骨や頭までも商品化し、廃棄を極限まで減らす工夫は、プロレスの鍛錬と同じように積み重ねの力を感じます!
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有限会社勝美
株式会社浜名湖鰻三商店
代表取締役 二橋 幸司
静岡県浜松市浜名区三ヶ日町都筑1313-660
TEL.053-526-1088
https://hamanako-katsumi.co.jp/
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