インタビューマガジン『B.S.TIMES』。国内外のビジネスリーダーや文化人を専属の芸能レポーターが訪問して取材。隔月出版にて、フリーペーパーとWEB、Kindleにてリリースしています。

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創刊号紹介

え、このライブ・映画が入場無料!?

 『DIM イタリアと出逢う十二月』は「西日本の皆様に現代イタリア文化の兆しを紹介したい」をコンセプトに二〇一四年に始まったイタリア文化会館‐大阪主催のアートイベントで、「DIM」つまり「Dicembre in Musica」(音楽の12月)という名が表すとおり、コンサートがプログラムの主軸となっている。それは、音楽には言語や文化の壁を越えて何かを伝えるコミュニケーション力があるからだ。今年のDIMではコンサートに加え、日本未公開の映画の上映会や現代美術の展示、来阪するミュージシャンによるマスタークラス(特別レッスン)など、さらにジャンルの領域を広げている。特筆すべきは、コンサートと映画上映会とが同時開催(会期の五日間のうち四日間)であること。つまり会場に足を運べば、現代イタリアの「音」と「映像」が一挙に体験できる構成となっている。

 
 DIMのプログラム内容に目を向けてみると、特長的なポイントが二つある。まず一つめは表現ジャンルの幅広さ。コンサートは、タンゴやジャズを現代風にアレンジした演奏や、イタリアン・バロックやアラブの伝統を回顧させる民族音楽、そして映画史上に残る名作の一節まで、それぞれのジャンルの専門家が多彩な演奏を披露してくれる。一方、映画においても同様で、現代イタリア風コメディーやドキュメンタリー、短編小説の映画化、若い映画監督の意欲作と、こちらもバラエティーに富んでいる。二つめはイタリアやヨーロッパで高く評価されている非常にレベルの高いアーティストたちがセレクトされていることだ。これらの演奏家や映画はまだ日本で紹介されておらず、だからこそイタリア文化会館ー大阪が主催し、しかも入場無料で提供し、広く日本の人々に知ってもらうことに大きな意義があると言えよう。

プログラム詳細はこちらから→http://dim-osaka.com/

Interview
ステファノ・フォッサーティ
イタリア文化会館ー大阪・館長
Stefano Fossati





東洋の文化や文明に興味を持ったことが、
広くイタリアを紹介する職業へとつながった。

 私は初等教育の頃から文学に親しんできましたが、十五歳のときに出会ったパヴェーゼ(※1)という小説家に影響を受けました。戦後イタリア文学を代表する作家です。彼の文学を通して、アメリカ文学に興味を持ち、詩人ギンズバーグ(※2)とその代表作「吠える」に出会いました。ギンズバーグの作品はインド文明への関心から生まれていたので、私もやがて興味をもち、インド古典美学についての卒業論文を書き、トリノの大学をサンスクリット(※3)で卒業する要因にもなりました。大学時代には、イタリア語翻訳版で谷崎潤一郎や三島由紀夫などの作品を読み始めましたが、このような体験が現在の私の職業、つまり東洋と自国の文明や文化の架け橋になることにつながっているのは言うまでもありません。私はこれまで仕事や個人的な事情で、インドやオーストラリア、日本などで暮らしてきました。だから偏見や先入観なしに、世界のさまざまな文化を研究することが好きです。たとえばオーストラリアでアボリジニ(※4)の芸術に出会ったとき、その多様性と創造性に強く感銘を受けました。イタリアの現代アートについて言えば、個人的にもみなさんに紹介したい作家がたくさんいます。その一人が、エンリコ・サヴェッリ氏(※5)で、彼は目に見えない大理石の輝きを生み出すことによって、大理石の持つコミュニケーション性を限界まで追求している彫刻家です。当館では同氏とともに、二〇一六年、長崎と京都で二つの展覧会の開催を企画しています。さらにはミケランジェロ・ピストレット氏(※6)の活動と、人工的な世界と自然の世界との均衡が実現される「第三の天国」という彼の考えにも大きな関心をもっています。映画についてですが、やはりイタリア風コメディーが好きですね。楽しいのはもちろん、良くも悪くもイタリア社会の複雑さを教えてくれる映画ジャンルなのです。音楽についてはオペラが最高峰と言われていますが、私自身は古楽も好きで、今回、フェスタ・ルスティカ・アンサンブルのコンサート(十二月六日)を生で聞けるのをとても楽しみにしています。



【注釈】
※1チェーザレ・パヴェーゼ
詩人で小説家、文芸評論家、翻訳者。二十世紀のイタリア文学におけるネオレアリズモの代表的な作家の一人。マルクス主義者でもあり、第二次世界大戦下ではパルチザン(武力による抵抗運動)活動も行っていた。代表作「美しい夏」は、一九五〇年にイタリア文学界最高権威「ストレーガ賞」を授賞した。
※2アレン・ギンズバーグ
一九五〇年代アメリカの若者が熱狂したヒッピー文化のリーダー的存在。髭をはやし、デニムを履いて、長髪でマリファナを吸うなど、生きるスタイルはアンチヒーローでもあり、その詩作は幻覚っぽくて前兆めいていて、ジャジーであり、瞑想的なのが特長。
※3サンスクリット
古代インド・アーリア語に属する言語で、南アジアはもちろん東南アジアにおいても用いられていた。「サンスクリット語」とも呼ばれ、日本では、近代以前から梵語(ぼんご)とも呼ばれている。
※4アボリジニ
オーストラリア大陸と周辺の島々の先住民族。近年、彼らの生活様式の一部であった絵画や音楽、舞踊などに芸術的価値が見出されるようになり、厳しい自然環境を生き抜くために必要不可欠なもの、先祖代々継承してきた知恵を伝承するためのものとして評価されている。
※5エンリコ・サヴェッリ
ルネサンス期に活躍したミケランジェロ同様、カッラーラ(トスカーナ州)の大理石を使い、非常に繊細な技法でさまざまな作品を創造する彫刻家。
※6ミケランジェロ・ピストレット
鏡そのものに絵画を描く「ミラー絵画」で世界的に有名な画家。鏡面には作品を見る人や周囲の空間が映り込み、過去と現在、二次元と三次元が混じり合う。このように現実と創造されたイメージが交錯し、対比される独自の表現は、彼自身の作品や芸術理論の根底となる。二〇一三年四月から九月までルーヴル美術館で回顧展開催。第二十五回「高松宮殿下記念世界文化賞」(二〇一三年)の美術部門を授賞。




Interview マリオ・マルツィ


■イタリア文化の象徴「スカラ座」(ミラノ)で、20年以上にわたり、第一サックス奏者として活躍する屈指のプレイヤー、マリオ・マルツィが来阪。民族音楽から現代音楽まで豊富なジャンルを聞かせてくれる。

音楽には国境も壁もなく、私たちが
友情を育むのを手伝ってくれる。


私たちのトリオは「融合」をテーマにコンサートをしています。もともと民族音楽に由来する音楽的経験からスタートしたのですが、今では音楽をもっと普遍的に表現したい、そのためには個人的かつ独創的な音楽経験を通しながらも統合するというプロセスを基盤にしています。演奏家それぞれの教育や経験、本能や感受性は違っていて当然で、演奏活動を続けていく中で、それらの接点を求めてきました。音楽は途方もない力と自由をもって存在しています。だから演奏家同士の、また演奏家と観客のあいだにある国境や壁のような存在を取り払ってくれ、私たちが友情を育み、音楽の普遍性にたどり着くのを手伝ってくれているような気がしています。私は九歳の頃からサックスを始めました。そのきっかけは、たぶん「一番、ピカピカしていた楽器」だったかも知れません。でもその楽器と遊びながら、またケンカしながらも一緒に成長し、やがて仕事仲間になるなど想像もできませんでした。これまでたくさんの偉大な作曲家の曲を演奏したり、さまざまなタイプのミュージシャンと演奏をしてきました。たとえばモンテヴェルディからバッハまで、私の出身地の民族音楽を取り入れたミュージシャンからジャズの巨匠まで、そして二十世紀の作曲家から現代のソリストやミュージシャンまで。どれもそれぞれ私に影響を与えてくれ、音楽的にも人間的にも私自身を豊かにしてくれました。今回、DIMに参加しますが、これまでにも何度か日本で演奏したことがあります。日本での演奏はいつも双方の文化や経験の差異を見つめ、分かち合えるよい機会となってきました。なぜなら日本の聴衆は、極めて注意深く演奏に集中してくれ、私はもちろん、どのミュージシャンたちも十分に満足できたからです。今回のステージでも、イタリア文化の一翼と私の「一部」を残しながら、観客の皆さんに喜びや美しさ、そして感動をお伝えしたいです。

※【マリオ・マルツィ氏率いるタンゴ・イ・アルゴ・マス・トリオの演奏は十二月五日(土)十六時〜『All DIRECTIONS』】

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第二回DIMコンサート&映画2015
「イタリアと出逢う12月」


全イベント入場無料・要予約

【日程】12/5(土)〜12/12(土)
会場は開演の30分前
【場所】 グランフロント大阪
大阪北館4F・北3エレベーター
ナレッジシアター(一部展示除く)
〒530-0011 大阪市北区大深町4-1
【予約・問い合わせ】
イタリア文化会館ー大阪
メール:iicosaka.eventi@esteri.it
Tel:06-6229-0066 Fax:06-6229-0067
『地中海通信」はB.S.TIMESとイタリア文化会館大阪が連携してイタリア文化を紹介する企画です
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