ものづくりだから楽しいんだよね
製版から印刷・製本まで職人たちの世界
仕上がった印刷物を車の荷台に積み、納品に向かったかと思えば、一方で電話が鳴って急ぎの案件が舞い込む。前日に三階の製版室で入念に仕上げられた刷版は一階にある大型の菊全四色・二色の両面機がフル稼働して次々と刷り上げる。この道二十五年の林さんが操作盤を睨んでいる。ここで働く人は熟練の印刷工ばかり、機械を扱うだけなら二年ほどあれば覚えられるというが、そこから先が終わりのない技の世界だという。「日本の印刷工は汚くて地味、給料お安いってイメージだけど世界一の腕を持っていると思うよ。技術もさることながら、丁寧な仕事をするからね」。最近、海外から安い紙が持ち込まれることもあるが、自社では注文しない。安さだけがすべてではない、お客さまの求めるクオリティーを越えていくことを目指している。
「ものづくりだから、追究することに終わりがない。そこが楽しい。」と製版職人はやりがいを感じている。刷り上った印刷は丁合機でページ順に並べ、製本、断裁機と進み、最後に美しく梱包されていく。片隅で少量ロットの二色印刷機を担当する都富士さんがインク分量を調整していた。家業が印刷屋で、中学の時からインクの香りと共に育った。この機械はアナログな感覚が必要で長年培ってきた経験がモノを言う。印刷の世界は、紙の種類、重さ、デザイン、ひとつとして同じものがないから毎日真剣勝負である。
営業は自分がウリ 毎日が勉強の連続
営業マンの谷口さんは入社二年目、同社で一番若く、常時、二十〜三十名の固定顧客を担当している。一番多い取引先は同じ印刷会社。自社で印刷から製本までまかなえる工場は少ないため、作業の一部を請け負う。どの業界でも同じように、営業マンのウリはなんといっても自分だと谷口さんは話す。「君だからお願いするよ」といってもらえるようにがんばる。顔の見える街の印刷工場だからこそ、直接お伺いしてサポートし、仕上がりを自分の目で確認して納品することが大切だ。入社したころは紙の種類、インキ、社内設備のことを覚えるだけでも大変だったが、今では自社に新しい技術を導入するために、最新技術を学びたいと考え、努力の日々を続けている。
有限会社アイエム出版社
平成11年4月設立
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