インタビューマガジン『B.S.TIMES』。国内外のビジネスリーダーや文化人を専属の芸能レポーターが訪問して取材。隔月出版にて、フリーペーパーとWEB、Kindleにてリリースしています。

インタビューマガジン『B.S.TIMES』

インタビューマガジン『B.S.TIMES』
インタビューマガジン『B.S.TIMES』

B.S.TIMES InstagramページへB.S.TIMES Facebookページへお問い合わせ

47号紹介

蓮馬株式会社
世界に評価されるバッグ・帽子
飛騨高山伝統の馬毛織物

天然光沢と色合いが魅力
伝統の馬の織物馬毛『飛翔織』


藤波 馬の毛を100%使用した世界唯一の織物ということですが、天然の光沢を持った独特の色合いがなんとも美しい。
古田 これらの織物は馬の尻尾の毛≠1本1本繋いで織り、反物にしています。馬の毛は7〜10キロを梳くなかで、織物に使われるのはほんの20〜30グラム。本当に厳選して良いものを使っています。
藤波 こうして光に当てるとキラキラしているのが分かります。軽やかで手になじみますし、ため息の出る美しさですね。
古田 1992年に、岐阜県飛騨高山から誕生した馬毛『飛翔織』は世界唯一の織り方で235もの工程を経て織り上げます。それぞれに目を揃えることにより美しい天然の、皺を伸ばすカーブを描きます。当社は世界唯一の馬毛『飛翔織』メーカー。その製品は30年たってもきれいに保たれます。
藤波 面白い柄という印象でしたが、これらはすべて天然のなせる術ですね。
古田 馬の毛は白馬毛、黒馬毛、茶馬毛、その中間色をあわせて12色もあり、それぞれを選んで混ぜていくと、このようにみごとな模様になります。
藤波 なぜ古田さんは、馬の毛を扱う伝統の職人になったのですか。
古田 昔、この辺りでは馬の毛を編んで裏漉し器や釣り糸の材料≠ノ加工していました。馬の毛は丈夫で、顕微鏡で見るとのこぎりの歯のような形。裏漉しに使うと滑らかに仕上がる。これは、私が18歳の頃の話ですが、裏漉し器を作る職人が「自分の代で終わりだ」と言うのです。私はこの伝統を絶やすべきではないと考え、馬の毛を糸にする技術に対し、18歳で特許を取りました。私はその後、高校教員を3年間経験した後、独立しました。
藤波 数少ないファンの人しか手に入れることができないそうですが、非常に手間がかかるからですか。
古田 選定してから糸にして織るので、1日3〜4センチしか出来ず、職人の数を考えても量産が不可能です。
藤波 機能面でも優れているそうですね。
古田 UVカット99%となっており、軽くてハリがあります。夏は涼しく冬はあたたかいので通年で使っていただけますし、くしゃくしゃにしても形状が戻るので、持ち運びに便利。洗浄はシャンプーとリンスで。面倒であればドライクリーニングでも大丈夫ですよ。馬毛織でデザインされたバッグを持つと、目線の錯覚でスリムに見えるような形状に織られています。
藤波 これをかぶってゴルフに行ったら、うんちくを喋ることも含め話題になるね。他社でも類似の商品があるのですか。
古田 日本のホースヘア表記は5パーセントから謳えます。そのため、他社の製品はレーヨンなど他の素材を混ぜ合わせているのです。さらにホースヘアと表示された帽子はデパートで例えば、約10万円以上で販売されています。馬毛『飛翔織』のソフト帽やハイバック帽はひとつ32,780円。他社製品に比べても、けた違いに安く出していますし、馬毛100%で磨き処理をしていますので、まったく輝きが違います。何より馬毛100%の商品はなかなか手に入らないでしょう。あまり出会えない逸品物の価値を知ってほしいですね。
藤波 手に入れようとしてもなかなか手に入らないことがよく分かりました。

職人の願いが込められた逸品
工賃を度外視して販売


藤波 32,780円の価格は、ほとんど原価に等しいのではないですか。コサージュ・ブローチが3,000円ではまったく価格があわないようにも感じますが。
古田 仰る通り、工賃を度外視して低価格でいいものをおさめています。私たちはホンモノの馬の毛を若い方にも手にしていただきたい。儲けるよりは「少しでも馬の毛の良さを知ってもらいたい」というのが私を含め、職人たちの願いです。
藤波 馬の毛を織る専門の職人は、世界でも数えるほどしかいないそうですが、こちらでは古田さん以外にも職人さんたちが活躍されていますね。
古田 そうですね。岐阜県の飛騨高山は、徳川幕府の直轄領で献上馬の産地でした。家には必ず馬屋があり、馬と共に育ってきた歴史が蓄積されてきたのです。近隣の内職さんの平均年齢は82歳。高齢化もあり、さほど稼ぎを気にせず、好きな時に自由な働き方をしている。そういった理由もあり、当社は他社に比べて製品が安く、工賃を度外視した価格で販売できるのです。
藤波 会社としての歴史は古いのですか。
古田 2004年から『うまのけ』という屋号ではじめ、2022年に『蓮馬』という法人を跡継ぎのために作り、従来に改良を加えた織を完成させてきました。
藤波 御社の商品はどういったところで購入できますか。
古田 当社の製品は専門店にも百貨店にも置いておらず、大手の会員制通信販売で限定商品として出しており、『ライトアップショッピングクラブ」や『間ギャラリー』、JRA『ターフィー通販クラブ』などでお求めになれます。
藤波 この見事なタペストリーも馬の毛を使った御社の製品ですか。
古田 これは2年がかりで使った馬毛のタペストリーで、それぞれに茶馬や白馬の毛を使って織っています。2重の仕様になっていて、細部までこだわっています。いずれの商品もデザインを設計し、何番目の印にこの糸を使うと決めてから織りあげます。
藤波 ペルシャ絨毯にも匹敵する価値のあるものですね。これらの色合いは使うごとに変化しますか。
古田 人間の手には脂がありますので、使い込んで触れば触るほど手に馴染んできて、色合いもより輝く。経年変化による味わいを楽しんでいただけます。
藤波 こういった特別な馬の毛は、どこから仕入れるのですか。
古田 馬の毛は地域ごとに特徴があります。例えば暑い地方で育った馬はやわらかい毛が特徴、逆に寒い地方で育った馬の毛は固い。当社の馬毛は、帽子やバッグに使いますので、寒い地方のものを主に使用しています。仕入れは3年に1度、イタリアで開かれる馬の毛の展示会でまとめて買い付けて、輸入しており、特にカナダ・イギリス・フランス・ドイツ産のものを取り寄せています。
藤波 仕入れのルートなどにも経験と知恵が必要なのですね

『OLBRISH LAGRANDAM』
高級感漂う馬毛バッグの美


藤波 バッグも取り扱っていますね。
古田 この30年で、1000種類もの商品を考案してきました。現在は帽子が中心ですが、ドイツ(ベルリン)にある、OLBRISH社とアジア地域におけるブランド展開および独占的販売協定を結びました。
藤波 そのOLBRISH社のアジア地域ブランド『OLBRISH LAGRANDAM』はデザイン性に富み、高級感がありますね。
古田 これは皆様がご存知の世界最高ブランドと同じ、革をなめす工場で使った南ドイツ産牛革の最高ランクを使用しています。つまり、世界最高品質のレザーと言えるでしょう。マテリアルはそのほとんどをイタリアで製造し、万年筆の先などを主に作っている工場とも業務提携しています。さらに日本では、国際的に評価のある『YKK』のファスナーを使っています。
藤波 シルエットが美しいですよね。
古田 デザイン面でも評価されており、米国のグッドデザイン賞をはじめ、世界的な賞を数多く取得。世界三大コンテストにおいて最優秀賞にも輝きました。
藤波 上質な牛革と、刺繍のような馬毛『飛翔織』との組み合わせが上品ですね。
古田 この巧みに織られた馬毛(ホースヘアー)の織物デザインは、ドイツにある古城やヴェルサイユ宮殿の椅子や壁紙として使われています。宮殿では、当初から椅子に馬毛が使われてきたため、宮廷家具の修復などに用いられる場合が多いのです。その他は、世界でもオルブリッシュのバッグにのみ使用されているのです。
藤波 欧州、欧米では名の知れたブランドだそうですが、なぜこのように特別な受注が可能なのでしょうか。
古田 やはりこういった馬毛を扱える職人が世界的に少ないということに尽きると考えています。日本では他の地方でも馬の毛を織れる職人はほぼいません。
藤波 次に仕掛けようと考えているのは。
古田 今度若者向けに売り出そうとしているのが12色の馬の毛を使ったアイテムです。
藤波 若い方にも手にとってほしいですね。競馬場との取引はあるのですか。
古田 当社は中央競馬(JRA)の売店にも納めています。土産物屋にはシールやぬいぐるみといったアイテムが多く、馬の毛そのものを使った商品は非常に珍しい。お客さまに多く選ばれています。
藤波 こういったブームに乗っていくのも良さそうですね。
古田 はい。JRAで周知されるのは非常に良いことだと考えています。また、一方で国際的なコンテストに挑戦し、稀少性の高い技術であり、価値のあるものだと理解していただく必要があるとも感じています。
藤波 そうですね。職人の数を考えると、誰もが手にできる商品になることは難しい。その価値を味わってほしいですね。今後の目標はどういったものですか。
古田 やはり馬毛の良さを多くの方に知らせたい。皆様に、様々な商品や馬毛工芸品の
知識を段階的に踏みながら、馬の毛のナチュラルな美しさに触れることで、本物の価値を感じてほしいです。
藤波 私もまったく知らなかった世界。今日はとても勉強になりました。

 

[ Column ]

色んなアイテムを生み出す蓮馬。最新アイテムとして考えているのはなんとお守り!馬は、神さまが乗るとされる動物で縁起物。そこで同社では馬糞95%に麻5%を混ぜ、そこに国立造幣局からいただいた1万円札をシュレッダーしたものを混ぜこんだお守り『運智の神様』を新商品として企画。神社などでこれから売りだす予定だ。

[ Point ]

これまで全く知らなかったホースヘアの世界!西陣織といった伝統の織物に匹敵する職人たちの手仕事に驚きました。知識なく手にとっても美しく軽やかなものであることは理解できますが、その背景を知ればより愛着が湧くこと間違いなし。私も発信していきたいです。

■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■

蓮馬株式会社
会長 古田 峰王
北海道札幌市北区北38条西4-1-22-111
TEL.011-738-3040
https://umanoke.com

■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■

 

一覧に戻る

  • 広告募集
  • 設置場所はこちら
  • インタビューマガジン『B.S.TIMES』ホーム
  • コンセプト
  • 誌面紹介
  • レポーター紹介
  • イベント紹介
  • 運営団体
  • お問い合わせ
左メニュー

異業種交流会パートナーシップPlus

ページのtopへ

Copyright B.S.TIMES. All Rights Reserved