インタビューマガジン『B.S.TIMES』。国内外のビジネスリーダーや文化人を専属の芸能レポーターが訪問して取材。隔月出版にて、フリーペーパーとWEB、Kindleにてリリースしています。

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50号紹介

ロボットデザイナー・美術家 松井 龍哉
国家的プロジェクトからの招聘
歴史に向き合う日本の革新者

ロボットとデザイン
幼い時に憧れたもの


―松井さんは、世間では『ロボットデザイナー』という肩書きで呼ばれていますね。
松井 自分で名乗っていたわけではないのですが、今までにない仕事をしてきました。2000年、ユニクロのCMに一研究員としてロボットと共に出演したとき、研究員やデザイナーといった肩書きですとインパクトに欠けるとなりました。そこで、現在はソニーのCTОをなさっている北野宏明さんが、「ロボットデザイナーがいいんじゃないの?」と言ったのです。それが、今では小学生の美術の教科書にロボットデザイナー・松井龍哉として掲載されています。
―幼い頃からロボットやデザインの分野がお好きだったのですか。
松井 ロボットアニメやロボットがいるSF映画の世界観が好きでした。子どもでしたら「乗る人になりたい」というのが普通でしょうが私はマイノリティ派で、白衣を着た博士といったロボットを作る人に憧れを持ったのです。「どこに行けば科学者に会えるのかな?」なんて考えていましたね。大工現場を眺めては、「大工さんと友達になったらあのロボットを作れるかな」とか…。デザイナーという仕事があるのを知ったのは小学校6年生の頃でした。NHKの番組『日曜美術館』で知り、「自分がやりたいのはデザインだ」と分かったのです。

天才を率いる超集中力
アートへと軸足を移す


―今の領域に進んだのはどういった理由でしたか。
松井 どういうタイプのデザイン領域を選ぶかで人生の時間の使い方が変わってくる。長い歴史の流れを見たとき、21世紀にしかやれないことをすれば、22世紀に評価されると考えました。私が仕事をして面白いと感じるのは歴史に向かっているとき。ですからロボットという対象を見つけたときは、非常にアドレナリンが出ました。ただ、この仕事は、世界中の天才技術者・科学者との協業です。来たる大阪万博でもロボットのデザイン担当です。普段は天才集団を背後に、スタートアップ企業のような資金集めに始まり、プロモーション、エンジニアリング全体を見るので、まさに超集中力≠ニいったものが必要です。そこで62歳まではロボットデザイナーとして活動し、以降はクリエイターとして純粋な創作をしたいという人生設計があります。
―東大寺へのアート作品奉納はクリエイターの領域にあるわけですね。
松井
 2023年の東大寺のプロジェクトもまた、私にとって歴史に挑む記念碑的なものでした。私は3年前(52歳)からアート作品を作り始めました。1日のうち使える時間の割合をアーティストの仕事へと徐々に移し、10年かけて移行しようとしています。

豊かさを築く経済活動
日本文化と私の世界


―万博での仕事はどういったものですか。
松井
 日本が手がける8つのテーマ事業「シグネチャーパビリオン」のうちひとつが、ロボットとアンドロイドをテーマとしており、そのデザインを任されています。時間が限られており、焦りながらやっていますね。大きな仕事には常に魔物がおりまして、踏み外さないよう慎重を重ねています。根底に置くのは「人間の未来に対して、本当に大切なことは何か」。下調べをしながら深めます。日本という国に対して、普段、暮らしていると気づかないものを見る。飛鳥時代から脈脈と続く「背骨になる倫理観」をひろっていくと、それが分かってきます。科学は文化のうえに準じていくものです。
―美術作家やクリエイターなど、これから学ぶ人に向けて、今、何かアドバイスを送るとすればどのようなことですか。
松井
 やはり、「自分の世界」を見つけることが最も大切です。10年、20年でも時間をかけていいから、「自分自身の世界観」を作る。「自分にしかできないこと」、「自分が本当に好きなこと」を追求してほしい。また、外へ出て、世界と歴史の中で「世界の私」をどう位置づけるか。「私の世界」と「世界の私」の間にある場所が社会で活動をしていく立ち位置です。そこが分かれば、美に殉ずる気持ちで創作へ向かってほしいです。
―主にビジネス分野で活躍する『B.S.TIMES』の読者に向けて、松井さんからメッセージをいただけますか。
松井
 ビジネスも「相対的に儲ければいい」時代が終わり「多様な豊さの認識」が広域な経済社会の資質となります。それを欧州では「共通善=コモングッド」という概念で精通しています。経営者には商売ではなく社会科学と文化思想が両立した態度が求められます。近年、属した組織を辞め経済界の亡霊化した人達をよく見ます。自らの豊かさの性質を謙虚に理解しなければ右往左往の人生終盤を迎えることになります。
―ありがとうございました。

 

[ PROFILE ]

1969年東京都生まれ 1991年 日本大学藝術学部デザイン学科卒業後、丹下健三・都市・建築設計 研究所を経て渡仏。1998-2000年 科学技術振興事業団 研究員。2001年 独立しフラワー・ロボティクス社を設立。自社ロボットの研究開発から販売までを手掛けている。2023年一般社団法人奉納プロジェクトにて世界遺産 東大寺に木造立体アートワーク作品「鎮める炎群」を奉納。

受賞: Good Design賞(日本)、ACCブロンズ賞、iFデザイン賞(ドイツ)、Red Dot design 賞(ドイ ツ)、第六回日芸賞

日本大学藝術学部客員教授、成安造形大学客員教授
著書「優しいロボット」(大和書房 2021年)

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ロボットデザイナー・美術家
松井 龍哉
フラワー・ロボティクス株式会社
E-mail. hello@flower-robotics.com
http://www.flower-robotics.com

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